ある冬の夜、なんとなくスマホでカードアプリを開いた瞬間の出来事でした。
画面に表示されていた数字は、私の手取り年収を遥かに超えていました。
「人生終わった」
そう思ったあの日、私が味わった強烈な恐怖と、そこからどうやって立ち直る決意をしたのか。
地獄の入り口に立った「最初の1日」を、恥を忍んで記録します。
※この記事は私の実体験であり、同じ苦しみの中にいるあなたへ「一人じゃない」と伝えるために書いています。
きっかけは「限度額オーバー」の通知だった
借金に向き合うことになったきっかけは、決して前向きな理由ではありませんでした。強制的に現実を突きつけられたのです。
コンビニで決済エラーが出た時の恥ずかしさ
仕事帰り、いつものようにコンビニでコーヒーと明日の朝食を買おうとした時のことです。
レジでカードを出し、店員さんが端末に通すと、聞き慣れない電子音が鳴りました。
「あ、お客様。こちらのカード、エラーが出てしまいまして……」
後ろには若いサラリーマンが並んでいます。顔から火が出るほど熱くなりました。
「あれ? おかしいな。磁気不良かな?」
私は精一杯の平静を装い、自分に言い訳をするように呟きながら、別のカード(まだ枠が少し残っていたサブのカード)を出してその場をやり過ごしました。
店を出てからのコーヒーは、泥のような味がしました。
3年ぶりに恐る恐るログインしたカード明細画面
帰宅後、私は震える手でスマホを手に取りました。
実は、メインで使っていたカードの管理画面にログインするのは3年ぶりでした。
「見たくない」
「見たら現実を知ってしまう」
そんな恐怖から、毎月ポストに届く明細は封も開けずにシュレッダーにかけ、アプリも消していたのです。
しかし、今日のエラーでいよいよ逃げ場がなくなったことを悟りました。
パスワードを入力する指が震え、何度も入力を間違えました。
意を決して「ログイン」ボタンを押した時、心臓が口から飛び出しそうだったのを覚えています。
画面に表示された「400万円」という数字
ログイン後のトップ画面。そこに表示された「ご利用残高合計」を見た瞬間、私は思考停止しました。
最初の感想は「システムのエラーだ」という現実逃避
利用残高:4,120,580円
当時の私の年収は350万円です。
手取りにすれば280万円ほどでしょうか。
「は? なにこれ」
借金が年収を超えているはずがない。
きっとアプリの不具合だ。ゼロが一つ多いんだ。
私は現実を受け入れられず、何度もアプリを再起動し、一度ログアウトしてから入り直しました。
しかし、無慈悲な数字は1円たりとも変わりません。
内訳を見て愕然…元金が全く減っていない
「なんで? 毎月ちゃんと返してたじゃん!」
私は毎月、銀行口座から3万円が引き落とされているのを確認していました。
「これだけ払っていれば、少しは減っているはずだ」と信じていたのです。
しかし、明細の内訳(リボ払い明細)を開いて、私はその場に崩れ落ちました。
- 返済額:30,000円
- うち手数料(利息):51,000円
- 元金充当額:0円(むしろマイナス)
※複数のカードを合算したイメージです。
毎月払っていたお金は、すべて「利息」に消えていました。それどころか、利息すら払いきれず、元金が雪だるま式に増えていたのです。
これが世にいう「リボ払い地獄」の正体でした。
その夜、私を襲った身体的・精神的な異変
数字を見た直後から、私の体には明らかな異変が起きました。
借金は、単にお金の問題ではなく、心と体を蝕む病気のようなものだと知りました。
止まらない動悸と、冷たい汗
布団に入っても、心臓の音が「ドクン、ドクン」と耳元で鳴り響いてうるさいのです。
冬なのに、パジャマがぐっしょりと濡れるほどの冷や汗が止まりません。
天井のシミを見つめながら、頭の中では物騒な言葉ばかりがぐるぐると回っていました。
「自己破産するしかないのか?」
「会社にバレたらクビになる?」
「いっそ夜逃げでもして、誰も知らない場所に行きたい」
眠れるはずがありませんでした。
隣で寝ている家族への罪悪感で押しつぶされそうになる
ふと横を見ると、妻と子供が安らかな寝息を立てていました。
その平和な光景が、私には何よりも鋭い刃物となって突き刺さりました。
「この人たちの未来を、私が壊してしまったのではないか」
明日のご飯、子供の進学、老後の生活……すべてを私の借金が食いつぶしてしまった。
一番身近で大切な人たちに、一番言えない秘密を抱えてしまった孤独感は、借金の額そのものよりも辛いものでした。
なぜ年収を超えるまで気づかなかったのか?(自己分析)
「400万も借金して気づかないなんて嘘だろ?」と思われるかもしれません。
でも、渦中にいる人間は本当に気づかない、いや「気づかないふり」が上手くなってしまうのです。
「毎月の支払額」しか見ていなかった罠
リボ払いの最大の罠は、「借金総額」を隠して「毎月の支払額」だけを見せてくるところです。
「月々1万円からの支払いでOK!」
この甘い言葉に完全に麻痺していました。
総額がいくらかということよりも、「今月の1万円が払えるかどうか」しか考えていなかったのです。
総額から目を背けることが、私の心の平穏を保つ唯一の手段でした。
複数のカード会社を「ハシゴ」していた自転車操業
最初は1枚のカードでした。
その枠が埋まると、A社からB社へ。B社が埋まるとC社へ……。
当時の私は、新しいカードが発行されるたびに「お金が手に入った」と錯覚していました。
借金を返すために別の会社から借金をする。
いわゆる「自転車操業」ですが、これを繰り返していると、借金をしているという感覚すら麻痺してくるのです。
絶望の中で私がとった「たった一つの正しい行動」
朝方まで一睡もできず、絶望の淵にいた私ですが、ある一つの行動をとりました。
これがなければ、私は今ごろ本当に破綻していたかもしれません。
震える手で「借金一覧表」をノートに書き出した
「もう、逃げるのはやめよう」
そう決めて、引き出しの奥から大学ノートを引っ張り出しました。
そして、全てのクレジットカード、キャッシングカード、銀行のカードローンを机の上に並べました。
- A社:残高〇〇万円(金利15%)
- B社:残高〇〇万円(金利18%)
- C銀行:残高〇〇万円……
震える手で、1行ずつノートに書き写していきました。
直視したくない現実を、自分の手で文字にする作業は苦痛以外の何物でもありませんでした。
書き出してみたら、少しだけ呼吸がしやすくなった
しかし、全て書き出し、合計金額の下に二重線を引いた時、不思議な感覚に襲われました。
「あ、これが私の敵の正体か」
お化け屋敷のお化けと同じで、正体が見えない時が一番怖いのです。
金額は絶望的でしたが、「漠然とした不安」が「具体的な課題(数字)」に変わったことで、パニック状態から少しだけ抜け出すことができました。
「この400万円をどうにかすればいいんだな」
そう思えたことが、私の「債務整理」への第一歩でした。
まとめ
リボ払いの残高が年収を超えても、すぐには死にませんし、人生も終わりません。
現にこうして、私は再起してブログを書いています。
でも、放置すれば確実に状況は悪化し、いつか本当に取り返しのつかないことになります。
もし今、明細を見るのが怖くて目を背けている人がいたら、どうか勇気を出して一度だけ見てください。
ノートに書き出してみてください。
そこが、あなたの人生を取り戻す再スタートの地点になります。
FAQ(よくある疑問)
※あくまで私の体験談としてお答えします。法的な判断が必要な場合は専門家へご相談ください。
Q:リボ払いの設定を勝手に解除されることはありましたか?
A:私の場合は、滞納するまでは勝手に解除されることはありませんでした。カード会社にとってリボ払いは利益が大きいので、向こうから止めることは少ないようです。ただ、限度額が一杯になり、新たな利用(買い物)はできなくなりました。
Q:家族にバレずに明細を確認する方法はありますか?
A:私は全て「Web明細」に切り替えていたので、自宅に郵送物は届きませんでした。ただ、スマホの画面を後ろから見られないように必死でしたし、督促状が届く段階になると隠すのは難しくなります。
Q:年収を超えた借金でも、自己破産せずに返せますか?
A:これは個人の状況によりますが、私の場合は「任意整理」という方法を選びました。
自己破産とは違い、家や車を残したまま、将来の利息をカットしてもらう手続きです。私の場合、利息がなくなるだけで「終わりの見える返済」に変わりました。
自分の借金がどの方法で解決できるかは、専門家の減額シミュレーションですぐに分かりました。まずは「知る」ことが一番早かったです。
