郵便ポストを開ける時の、あの独特の緊張感を知っていますか?
ダイヤルを回し、金属製の扉が「ガチャン」と開く音。その音がするたびに、心臓が跳ね上がる感覚。
最初はなんの変哲もない白いハガキでした。
それがやがて封書になり、黄色や赤色の「目立つ封筒」へと変化していく恐怖。
「見なかったことにしたい」
「開けるのが怖い」
そうやって未開封のまま引き出しの奥に溜め込んでいた私が、ついに「内容証明郵便(法的措置予告)」のような通知を受け取り、限界を迎えるまでの経緯を振り返ります。
今、ポストを開けるのが怖いあなたへ。
これは、無視し続けた先に待っていた私の現実です。
最初は「うっかり忘れ」のような優しい通知だった
借金を滞納し始めた当初、カード会社からのリアクションは驚くほど静かで、事務的なものでした。
白いハガキと「再振替のお知らせ」
最初に届いたのは、圧着式の白いハガキでした。
めくってみると、丁寧な言葉遣いでこう書かれています。
「〇月〇日のお引き落としが確認できませんでした。つきましては、〇月〇日に再振替を行いますので、ご入金をお願いいたします」
まだ企業側も「うっかり忘れていませんか?」という優しいトーンです。
封筒ではなくハガキだったので、家族が見ても「あ、引き落としミスったの?」くらいで済みました。
この段階では、私自身も危機感が薄く、「次の給料が入ったら払えばいいや」と軽く考えていました。
しかし、その甘さが地獄の入り口でした。
携帯電話への着信が鳴り止まなくなる
ハガキが届く頃から、携帯電話への着信が増え始めました。
「03」や「06」、あるいは「0120」から始まる知らない番号です。
仕事中は当然出られません。
でも、休憩時間に履歴を見て、その番号をGoogleで検索すると、カード会社の回収部門であることがわかります。
「なんて言い訳しよう」
「今すぐ払えるお金なんてない」
そう思うと、折り返す勇気が出ませんでした。
スマホが震えるたびにビクッとする生活が、ここから始まりました。
ある日突然、封筒の色が「警告色」に変わる
滞納から1ヶ月、2ヶ月と過ぎた頃、ポストの中身に明らかな変化が訪れました。
「至急」「重要」のハンコが押された黄色い封筒
ある朝、いつものようにポストを開けると、他の白い郵便物の中に混じって、蛍光色の黄色い封筒が入っていました。
表面には赤字で「親展」「重要」「至急開封」のスタンプ。
ポストの中で放つ異様な存在感に、血の気が引きました。
「これは、家族に見られたら一発で怪しまれる」
それ以来、私は家族よりも早く起き、朝一番にポストを確認し、怪しい封筒を回収してカバンに隠すのが日課になりました。
まるで犯罪者のような気分でした。
ついに届いた「赤色」の封筒と「法的措置」の文字
さらに無視を続けると、封筒の色は「赤色(または毒々しいピンクやオレンジ)」に変わりました。
視覚的に「危険」を知らせる色です。
震える手で封を開けると、中の文面も以前のような「お願い」ではありません。
- 「催告書」
- 「期限の利益喪失」
- 「一括返済を求めます」
- 「法的措置(裁判)への移行」
そこには、私の年収を超える400万円近い金額を、「〇月〇日までに一括で支払え」という無理難題が書かれていました。
分割払いの権利(期限の利益)を失った瞬間でした。
一番恐ろしかったのは「家族バレ」のリスク
借金そのものの恐怖以上に私を追い詰めたのは、「家族にバレるかもしれない」という精神的ストレスでした。
休日も郵便配達のバイクの音がするとビクつく
休日、リビングで家族とテレビを見ている時でした。
家の前で郵便配達のカブ(バイク)のエンジン音が聞こえてきました。
「ブブブ……キキーッ」
バイクが止まる音。そしてポストに何かが投函される「カタン」という音。
「私が見てくる!」
私は反射的に立ち上がり、玄関へダッシュしました。
妻に「どうしたの? 急に」と不思議がられましたが、心臓は早鐘を打っていました。
配達員さんが来る時間が、処刑宣告の時間のように感じていたのです。
差出人名が個人名や「〇〇管理センター」に変わる不気味さ
さらに怖かったのが、差出人名の変化です。
当初の「〇〇カード株式会社」から、聞き覚えのない名前に変わり始めました。
- 「〇〇債権回収株式会社」
- 「弁護士法人〇〇事務所」
- 「鈴木(個人名)」
債権が回収会社に回されたり、弁護士委託になったりした証拠です。
見慣れない名前の封筒を妻に見られ、「これ誰? 知り合い?」と聞かれた時の冷や汗。
「あ、いや、なんか迷惑なDMだよ。投資の勧誘じゃないかな?」
そんな苦しい嘘をつきながら、私は封筒を握りつぶすように隠しました。
無視し続けた私の末路。「特別送達」の不在票
そしてついに、その日はやってきました。
いつものようにこっそりポストを確認すると、郵便物ではなく「不在連絡票」が入っていました。
普通の郵便とは違う、書留や内容証明の重み
不在票の種類は「簡易書留」や「特別送達」と書かれています。
これは、ただの請求書ではありません。
「裁判所」からの通知の可能性が高いものです。
(あるいは、内容証明郵便による最後通告)
ネットで検索すると、「特別送達を無視すると、欠席裁判となり、給料差し押さえが確定する」という情報が出てきました。
ここが私の限界点だった
「給料の差し押さえ」
このワードを見た瞬間、私の頭の中で何かが切れました。
給料を差し押さえられるということは、会社に借金がバレるということです。そして当然、給料が減れば家族にもバレます。
「もう、隠し通せない」
「これ以上無視したら、本当に人生が終わる」
私はその日、引き出しに溜め込んでいた未開封の「カラフルな封筒の山」をカバンに詰め込みました。
そして、震える手でスマホを取り出し、ネットで見つけた債務整理に強い弁護士事務所へ電話をかけました。
それが、私が無視をやめた日であり、本当の意味での解決が始まった日でした。
まとめ
督促状は、無視しても絶対に消えません。
ゴミ箱に捨てても、引き出しの奥に隠しても、借金は1円も減りません。
封筒の色が変わるごとに、事態は確実に「裁判」や「差し押さえ」へとカウントダウンを進めています。
今、ポストを開けるのが怖いあなたへ。
その封筒を開封する勇気が出ないなら、開封しなくていいです。
そのまま封筒の束を持って、専門家のところへ駆け込んでください。
中身を確認するのは、専門家の仕事です。
あなたは「助けてください」と言うだけでいいのです。
それが、恐怖から解放されるための一番の近道だと、経験者の私は断言します。
FAQ(よくある疑問)
あくまで私の体験ベースで回答します。
Q:封筒の表書きに「借金」と書かれていますか?
A:私の場合は、表書きに「借金」や「督促状」とデカデカと書かれたものはありませんでした。プライバシーへの配慮はあるようです。
しかし、赤字で「親展」「至急」とスタンプが押されていたり、差出人が「債権回収会社」だったりするため、家族が見れば「普通の郵便ではない(何かのトラブルだ)」とすぐに勘づくレベルでした。
Q:督促の電話を無視し続けるとどうなりますか?
A:最初は個人の携帯にかかってきましたが、無視し続けると自宅の固定電話にかかってくる可能性があります。
さらにネットの情報では、「連絡が取れない場合、勤務先に在籍確認を兼ねて電話が行く」とあり、私はこれが一番の恐怖でした。(※私の場合は、勤務先にかかってくるギリギリ手前で弁護士に依頼しました)
Q:弁護士に依頼したら督促状は止まりましたか?
A:はい、これは本当に驚きました。
弁護士に依頼し、カード会社へ「受任通知(介入通知)」という書類が発送された数日後から、あれほど毎日届いていた不気味な色の郵便物も、鳴り止まない電話も、ピタリと止まりました。
ポストを開けても白い封筒しか入っていない。スマホが鳴っても怯えなくていい。
あの時の静けさと安心感は、一生忘れられません。
