借金総額を計算するのが怖くて、3年間現実逃避していた話【知らないほうが幸せ?】

「今、借金の総額はいくらありますか?」

そう聞かれて、あなたは1円単位で即答できますか?
私は答えられませんでした。いや、正確には「答えたくなかった」のです。

「たぶん、250万くらい……かな?」

頭の中ではそう見積もっていました。
しかし、現実の数字を知ってしまったら、今の生活が音を立てて崩れ去る気がして、3年間ひたすら目をつぶってきました。

そんな私が、ある夜、家族が寝静まった後に意を決して電卓を叩くことになったきっかけと、その結果についてお話しします。

私が使っていた「心の安定を保つための嘘」

借金が膨らんでいる時、人は無意識に自分を守ろうとします。
私もそうでした。とんでもない嘘を自分につき続けていたのです。

「毎月返済できているから大丈夫」という思い込み

当時の私は、毎月複数のカード会社への支払いを続けていました。
自転車操業でしたが、なんとか「滞納」だけは避けていました。

「毎月ちゃんと引き落とされているんだから、俺は破綻していない」
「返済は進んでいるんだから、いつかは終わる」

そう自分に言い聞かせていました。
しかし、それはリボ払いの罠でした。毎月3万円払っても、そのうちの大部分が利息に消えていることには気づかないふりをしていました。

リボ払いの「定額返済」は、借金の総額が増えている事実を隠すための麻酔のようなものだったのです。

明細書は「未開封のまま」ゴミ箱へ

ポストに届くカード会社からの封筒。
最初は中身を確認していましたが、借金が増えるにつれて見るのが怖くなりました。

「今月の残高を見るのがストレスだ」
「見なければ、悩みごとは存在しないのと同じだ」

そんなとんでもない理論で、届いた封筒を未開封のままゴミ箱へ捨てるようになりました。
Web明細に関しても、「ログインIDを忘れた」と自分に嘘をつき、アクセスするのをやめました。

これぞまさに「現実逃避」の極みです。

現実逃避が終わったきっかけ

そんなダチョウのように砂に頭を突っ込んでいた私ですが、ある日強制的に現実と向き合わされる出来事が起きました。

妻からの「マイホーム」という言葉

きっかけは、妻との何気ない会話でした。

「ねえ、〇〇くんの家、マンション買ったんだって。うちも子供が小学生になる前には考えたいね」

その言葉を聞いた瞬間、心臓が凍りつきました。
住宅ローンを組むには、当然審査があります。個人の信用情報が丸裸にされます。

「借金があるから無理だ」なんて言えない。
でも、「いいえ」とも言えない。

将来のお金の話、子供の未来の話になった時、私はこれ以上嘘をつき続けることの限界を悟りました。
「このままでは、家族の未来まで食いつぶしてしまう」

その夜、私はついに「パンドラの箱」を開ける決意をしました。

深夜のリビングで一人、電卓を叩いた儀式

妻と子供が寝室に入ったのを確認し、深夜1時、私はリビングのテーブルに向かいました。

家中のカードと明細をテーブルに広げて

財布に入っているクレジットカード、キャッシングカード、銀行のカードローン。
そして、引き出しの奥に隠していた(捨てずに溜まっていた)督促状に近いハガキたち。

それらをすべてテーブルの上に並べました。
まるで刑事ドラマに出てくる押収品のように、私の罪の証拠が並んでいます。

ノートとボールペン、そして電卓を用意しました。
手が震えて、何度もペンのキャップを落としました。

「A社、残高……えっと、80万円」
「B社、キャッシング……50万円」

1社ずつ、Web明細にログイン(パスワードの再発行をして)し、数字を拾っていきます。

表示された数字は、予想の1.5倍だった

すべての数字を足し合わせ、電卓の「=(イコール)」ボタンを押しました。

私の事前の予想では、「まあ、多くても280万〜300万円くらいだろう」と思っていました。
しかし、液晶画面に表示された数字は、私の甘い見通しを粉々に打ち砕きました。

『4,120,580』

「……は?」

声が出ました。400万円オーバー。
予想より100万円以上も多いのです。

「なんで? 計算間違いだろ?」

もう一度叩き直しても結果は同じ。
原因は「利息(リボ手数料)」でした。
何年もリボ払いを続けていたため、元金以上の利息が積み重なり、私が思っていたよりも遥かに借金は膨れ上がっていたのです。

数字を知って、逆に腹が決まった

400万円という数字を見た時、最初は絶望で目の前が真っ暗になりました。
しかし、数分後、不思議な感覚が訪れました。

お化けと借金は「見えない」から怖い

お化け屋敷が怖いのと同じで、人間は「正体がわからないもの」に対して最大の恐怖を感じます。

これまで私は、「借金いくらあるんだろう……」という見えない恐怖に3年間怯え続けていました。
しかし今、目の前には「412万円」という明確な敵がいます。

「自力返済は無理だ」と論理的に判断できた

そして、冷静な計算ができました。

  • 私の手取り年収:約280万円
  • 借金総額:約412万円
  • 年間の利息だけで:約60万円

「あ、これ無理だ。逆立ちしても返せない」

数字を見たことで、良い意味での「諦め」がつきました。
根性論や節約でどうにかなるレベルを超えていることが、数字として証明されたからです。

「自力は無理だ。専門家(弁護士)を頼ろう」

そう決断できたのは、紛れもなく、あの夜勇気を出して電卓を叩いたおかげでした。

まとめ

借金の総額を知ることは、めちゃくちゃ怖いです。
吐き気がするほど怖いし、知れば知るほど絶望するかもしれません。

でも、数字を見ない限り、解決へのスタートラインには絶対に立てません。
病気の治療も、まずは「検査」をして病状を把握することから始まりますよね? 借金も同じです。

今夜、勇気を出して計算してみませんか?
それが、あなたの人生を取り戻すための、最初で最大の一歩になります。

FAQ(よくある疑問)

Q:明細を捨ててしまって総額がわかりません。どうしましたか?

A:手元に資料がない場合は、CIC(指定信用情報機関)という場所に、自分の情報の「開示請求」をすることができます。スマホから手続き可能(手数料はかかります)で、自分がどこからいくら借りているか、すべて載った報告書が見られます。
私はこれを見て、隠していた過去の借金や、忘れていたカードローンの存在まで全部明らかになり、ゾッとしましたが、同時にスッキリもしました。

Q:計算して絶望しませんでしたか?

A:しました。年収を超えていたので、膝から崩れ落ちるような絶望感でした。
でも同時に「ああ、もう無理しなくていいんだ」「降参していいんだ」という、不思議な安心感もありました。
「返せない」という事実が確定したことで、迷いなく債務整理(任意整理)へと進むことができました。