任意整理の和解が無事に成立し、毎月4万円の返済がスタート。「これで3年間(36回)頑張って払い続ければ、借金生活が終わる!」と意気込んでいた私ですが、ある日ふと恐ろしい想像をしてしまいました。
「もし明日、交通事故に遭って入院したらどうなる?」
「会社が急に倒産して、来月から給料がなくなったら?」
3〜5年という長い返済期間中、自分がずっと健康で、今の会社で働き続けられる保証はどこにもありません。
ギリギリの生活の中で「万が一のリスク」とどう向き合うべきか。最低限の保険の残し方と、もし返済がストップしてしまった時の救済措置について解説します。
固定費削減の罠。「医療保険」は解約すべきか?
借金返済の基本は「固定費の削減」です。私も債務整理を機に、見栄で入っていた不要なサブスクや過剰な生命保険はすべて解約しました。しかし、「医療保険」だけは安易にゼロにしてはいけません。
貯金ゼロのブラックリスト状態こそ、病気が命取りになる
ブラックリストに載っている私たちは、いざという時にクレジットカードのキャッシングやカードローンで「一時的にお金を借りてしのぐ」という裏ワザが使えません。
もちろん、日本には「高額療養費制度(月の医療費上限が決まる制度)」という素晴らしい仕組みがありますが、それでも数万円の持ち出しは発生します。
手元に貯金がない状態で病気やケガをして働けなくなれば、当面の医療費はおろか、その月の生活費や「任意整理の返済金」すら払えずに、一瞬で人生が詰んでしまうのです。
私が残した「月2,000円の掛け捨て医療保険」
私は、自分が死んだ時に数千万円が下りるような過度な生命保険は解約(または大幅減額)しましたが、「入院日額5,000円」が出る最低限の県民共済(掛け捨て医療保険)だけは死守しました。
月々2,000円程度の出費にはなりますが、これは貯金がない私にとって「最強の予備費代わり」になります。万が一入院して収入が減っても、この保険金が下りれば、任意整理の支払いを滞納せずにやり過ごすことができるからです。
もし本当に病気や失業で「今月の返済」ができない時は?
保険でカバーしきれない事態や、突然の失業などで「どうしても今月の返済ができない」という絶望的な月が来てしまったら、どうすればいいのでしょうか。
絶対にやってはいけないのは「無断で滞納(放置)すること」
一番やってはいけないのが、カード会社や弁護士からの連絡を無視して「無断で滞納すること」です。
任意整理の和解契約には、ほぼ確実に「2回(2ヶ月分)支払いを怠った場合、期限の利益を喪失する」という恐ろしいルールが盛り込まれています。
つまり、無断で2ヶ月滞納した瞬間、分割払いの約束は白紙に戻され、カットされていたはずの遅延損害金を上乗せした「一括請求」が自宅に届くのです。これだけは絶対に避けなければなりません。
支払いが遅れそうな時は、1秒でも早く弁護士に連絡を
「今月はどう計算しても4万円が払えない」と分かった時点で、1秒でも早く、あなたの手続きを担当してくれた弁護士事務所に連絡してください。
弁護士を通して債権者(カード会社)に、「今月は急病による入院でどうしても払えませんが、来月には復帰して2ヶ月分払います」など、誠実に事情を説明すれば、1ヶ月程度の猶予(待ってもらうこと)に合意してもらえるケースがほとんどです。逃げずに事情を話すことが、あなたを守る最大の防御になります。
長期的な収入減(失業など)に陥った場合の「2つの救済策」
1ヶ月の猶予では済まないような、長期の入院やリストラ(失業)に陥ってしまった場合でも、人生が終了するわけではありません。法律は次の救済策をきちんと用意してくれています。
救済策① 弁護士による「再和解(リスケジュール)」
1つ目は、弁護士に再度依頼して、カード会社と和解を結び直す「再和解」です。
現在の月々4万円の返済を、「月々2万円にして、その分支払い期間をさらに長く延ばしてもらう」といった交渉を行います。
ただし、カード会社からすれば「一度破った約束をもう一度結び直す」ことになるため、最初の任意整理よりも条件は厳しくなり、交渉に応じてもらえない会社も出てくるリスクがあります。
救済策② 最終手段としての「自己破産への切り替え」
努力してもどうにもならない重い病気や、どうしても次の仕事が見つからない場合は、任意整理を諦め、「自己破産」や「個人再生」に手続きを切り替えるという最終のセーフティネットがあります。
「せっかくここまで払ってきたのに」と悔しい気持ちになるかもしれませんが、払えないものを抱えて精神を病んでしまっては本末転倒です。裁判所を通して借金をゼロ(または大幅減額)にしてもらい、本当の意味でゼロから生活を立て直す決断も、時には必要です。
まとめ
任意整理の返済中の病気や失業は、確かに怖いです。
だからこそ、少額でもいいので「現金の予備費」を少しずつ貯め、「最低限の医療保険」に入っておくことで、生活の防御力を高めておく必要があります。
万が一、どうしても払えなくなってしまっても、そこで「人生が終了する」わけではありません。
再和解や自己破産への切り替えなど、次の法的な一手が必ず用意されています。一人で抱え込んで無断滞納する前に、すぐに担当の弁護士に泣きついてください。彼らはそのために存在しているのです。
FAQ(よくある疑問)
Q:任意整理の返済中でも、新しく生命保険や医療保険に入れますか?
A:はい、加入できます。
保険の加入審査において、信用情報機関(CICなど)の借金データが見られることは一切ありません。保険会社が見るのはあくまで「健康状態」だけですので、健康面に問題さえなければ、ブラックリスト状態でも新しい保険に加入することは十分に可能です。
Q:再和解や自己破産への切り替えには、追加で弁護士費用がかかりますか?
A:はい。最初の任意整理とは別の「新たな手続き」となるため、多くの場合、追加で弁護士費用が発生してしまいます。
だからこそ、最初の任意整理の和解を結ぶ段階で、見栄を張らずに「本当に3〜5年間、無理なく払っていける金額設定になっているか」を厳しく見極めることが最も重要なのです。
