「債務整理をしよう」
そう決意しても、すぐに動けたわけではありません。
私の目の前には、弁護士事務所の「無料相談」の電話番号が表示されたスマホがありました。
しかし、親指が動かないのです。
発信ボタンを押すだけの動作が、まるで断崖絶壁から飛び降りるかのように怖くてたまらない。
「怒られるんじゃないか」
「こんな借金まみれの人間、相手にされないんじゃないか」
そんな不安と戦いながら、トイレにこもって3時間悩み、ついに電話をかけた時のリアルな体験談です。
なぜ私は3時間も躊躇したのか?
今振り返れば笑い話ですが、当時の私は本気で怯えていました。
なぜあんなに怖かったのか、その時の心理状態を分析してみます。
脳内で勝手に作り上げていた「怖い弁護士像」
完全にテレビドラマや映画の影響ですが、私の脳内では勝手にこんなシチュエーションが出来上がっていました。
- 電話に出るのは、威圧的で頑固そうな年配の男性弁護士
- 「君ねぇ、なんでこんなになるまで放っておいたんだ!」と怒鳴られる
- 「甘えるな!」と説教されて、ガチャンと切られる
「借金がある=悪いことをしている」という罪悪感が強すぎて、弁護士が「自分を裁く裁判官」のように見えていたのです。
実際は、弁護士は「依頼人を守る味方」なのですが、そんな冷静な判断は吹き飛んでいました。
自分の恥部(借金)を他人に話す恥ずかしさ
もう一つの壁は「恥ずかしさ」です。
電話をかけるということは、見ず知らずの他人に「私は借金が400万円あって返せません」と宣言するようなものです。
- 「名前を名乗るのが怖い」
- 「もし家族にバレるような手紙が届いたらどうしよう」
疑心暗鬼になりすぎて、スマホを握りしめたまま、トイレの中で何度も深呼吸を繰り返していました。
汗でスマホの画面が湿るほど緊張していました。
準備しておいて良かった「カンニングペーパー」
「このままでは一生電話できない」
そう思った私は、パニックにならないよう、話す内容を事前に紙に書き出すことにしました。
いわば「カンニングペーパー」です。
電話でパニックにならないためのメモ
私がチラシの裏に書き殴ったのは、以下の項目です。
- 借入件数(例:5社)
- 借金総額(例:約400万円)
- 現在の月々の返済額(例:8万円)
- 一番聞きたいこと(例:家族に内緒でできますか?)
これを用意しておいたのは大正解でした。
実際に電話がつながった瞬間、頭が真っ白になりましたが、目の前の紙を読むことでなんとか会話が成立しました。
もし何も用意していなかったら、「えっと、あの、たぶん……」と口ごもって、自滅していたと思います。
いざ発信! 電話の向こうの対応は…
3時間後、意を決して「発信」ボタンを押しました。
「プルルル……」という呼び出し音が、心臓の鼓動よりも大きく聞こえました。
出たのは優しい女性の事務員さんだった
「はい、〇〇法律事務所でございます」
電話に出たのは、私が想像していた怖いおじさんではなく、とても声の優しい女性(事務員さん)でした。
拍子抜けするほど普通の、丁寧なビジネス対応です。
歯医者さんや美容室の予約を取るのと何ら変わりません。
「あ、あの、債務整理の相談をしたいのですが……」
「はい、お電話ありがとうございます。ご相談ですね。いくつかご質問させていただいてもよろしいでしょうか?」
怒られるどころか、「お電話ありがとうございます」と感謝されてしまいました。
ここで一気に肩の力が抜けました。
聞かれたのは「事実」だけ。感情は聞かれない
その後、聞かれたのは淡々とした「事実」だけでした。
- 「現在、何社からお借り入れですか?」
- 「合計でおいくらぐらいになりますか?」
- 「お住まいの地域はどちらですか?」
そこに、「なんで借りたんですか?」とか「反省してるんですか?」といった感情的な質問は一切ありません。
事務員さんにとっては、これが毎日のルーティン業務なのだと分かります。
借金の理由などは、後日弁護士先生と直接会った時に話せばよく、最初の電話予約では「概要の確認」と「日程調整」だけであっさり終わりました。
通話時間はわずか10分ほどでした。
電話を切った後の、謎の脱力感と希望
「それでは、〇月〇日の14時にお待ちしております。気をつけてお越しください」
そう言われて電話を切った後、私はトイレの床に座り込みました。
でも、それは絶望ではなく、安堵の座り込みでした。
「予約してしまった」という事実が背中を押す
「ああ、予約しちゃった」
「もう後戻りできない」
そんな怖さもありましたが、それ以上に「これでもう、一人で悩まなくていいんだ」という安心感が押し寄せてきました。
3時間前までは「孤独な借金持ち」でしたが、今は「専門家に相談する予定のある人」になれたのです。
たった一本の電話ですが、私にとっては人生を変える大きな一歩でした。
まとめ
電話をかける前が、恐怖のピークでした。
かけてしまえば、「なんだ、こんなものか」と拍子抜けするほど普通です。
相手(事務所)にとって、借金の相談電話を受けることは、コンビニ店員さんが「いらっしゃいませ」と言うのと同じ日常業務です。
あなたが特別ダメな人間だなんて思っていませんし、怒る理由もありません。
今、スマホを握りしめて画面を見つめているあなたへ。
その発信ボタンを押す勇気には、一生分の価値があります。
深呼吸をして、メモを用意して、えいやっ!と押してみてください。
その先には、必ず「なんとかなる未来」が待っています。
FAQ(よくある疑問)
Q:メールやLINEでの相談予約じゃダメですか?
A:私は電話が怖かったので、最初はメールフォームから問い合わせました。でも結局、「詳しい状況をお伺いしたいので」と事務所から折り返しの電話がかかってきました(笑)。
二度手間になるので、最初から電話した方が早いですが、どうしても話すのが苦手な人はメールやLINEからエントリーするのも全然OKだと思います。
Q:匿名で相談できますか?
A:最初の問い合わせ段階(「減額できるか診断」など)では仮名でもOKな事務所もありました。
ただし、具体的な面談予約を取る段階では「本名」が必要でした。弁護士には法律で厳しい守秘義務があるので、名前を言っても誰かに漏れることは絶対にありませんでした。
Q:土日でも電話つながりますか?
A:私がかけた事務所は24時間365日対応のコールセンターを持っていました。
平日の昼間は仕事で電話できないし、夜は家族がいてかけにくい……という場合でも、土日や深夜に対応してくれる事務所を選ぶとスムーズです。
