「借りたものを返せないなんて、人間として終わっている」
私自身、借金に苦しんでいた頃はずっとそう思っていました。
だからこそ誰にも言えず、ギリギリまで一人で抱え込み、結果的に隠し続けて事態を最悪なところまで悪化させました。
世間の冷たい目、そして何より自分自身の「変なプライド」とどう向き合い、乗り越えたのか。
債務整理という決断に対する「罪悪感」と「羞恥心」の正体について、手続きを終えて生活を再建した今の正直な気持ちを書きます。
私が抱えていた「羞恥心」の正体
借金が膨らんでいく中、私は常に見えない何かに怯え、恥じていました。その正体を深掘りしてみます。
世間からの「だらしない人間」というレッテルへの恐怖
私は親から「お金だけは綺麗にしなさい」「人様に迷惑をかけてはいけない」と厳しく育てられました。
その呪縛があったため、借金がある=親の教えを破った「だらしない人間」の証明だと思い込んでいたのです。
SNSを開けば、同級生や同僚がまともにマイホームを買い、新車を買い、家族旅行に行っている写真が流れてきます。
それに比べて自分は、毎月のリボ払いに追われる日々。この強烈な「劣等感」を隠すのに必死でした。
実は「世間」なんて誰も私のことを見ていない
しかし、手続きを終えて冷静になった今、ひとつの真理に気づきました。
「自分が思っているほど、他人は私の借金事情になんて興味がない」ということです。
私が勝手に「世間に後ろ指を指される」と怯えていただけで、誰も私の財布の中身なんて見ていませんでした。
私が恥ずかしがっていたのは、実在する誰かではなく、自分自身が勝手に作り上げた「脳内の世間」だったのです。
「借りて返すふり」を続ける方が恥ずかしかった
「破産や整理をするなんて恥ずかしい」
そう思って自力返済にこだわっていた私ですが、当時の自分の行動を振り返ると、そっちの方がよっぽど人間として恥ずかしい生き方でした。
自転車操業という「嘘」の連鎖
A社への返済日にお金がないから、B社のキャッシング枠からお金を引き出して、A社に振り込む。
これは果たして「返している」と言えるのでしょうか?
ただ借金の総額を増やしながら、借金の付け替えをしているだけです。
「私はちゃんと返済している」と自分に嘘をつき、家族にも「お金の問題はない」と嘘をつき続ける生き方。
見栄を張って事実から逃げ回る生き方のほうが、よっぽど不誠実で恥ずかしいことだと気づきました。
債務整理は「逃げ」ではなく「責任の取り方」の一つ
債務整理=借金からの逃亡、だと思われがちですが、実際は真逆です。
法的な手続きに乗っ取り、自分の現状(払えないという事実)をすべて包み隠さず開示する。そして、クレジットカードが長期間作れなくなるという、今の自分が負える「最大のペナルティ(責任)」を受け入れる。
これは現実から目を背けることではなく、自分の失敗と真っ正面から向き合う、極めて前向きな行為だったと今は胸を張って言えます。
失敗を「経験」に変えるためのマインドセット
債務整理によって「ブラックリスト」という烙印を押された私が、どうやって前を向いたのか。
「借金で死ぬことはない」という国からのメッセージ
法律(自己破産や任意整理の制度)は、失敗した人間を永遠に罰し、いじめるためにあるのではありません。
「真面目にやり直したい人間を、再起させるため」に存在しています。
国が「借金くらいで死ぬことはない。もう一度やり直しなさい」と用意してくれたセーフティネットなのです。
これを有り難く使い、二度と同じ過ち(借金)を繰り返さずに経済的に自立することこそが、社会に対する最大の恩返しだと考えるようになりました。
一度どん底を見た人間の「強さ」
すべてを失い、クレジットカード一枚持てない「現金だけの生活」に転落しました。
しかし、その何もない状態からでも、「意外と普通に生きていける」という謎の自信がつきました。
ステータスや見栄で自分を飾る必要がなくなったため、本当に大切なもの(家族の笑顔や、心身の健康、美味しいご飯を美味しいと感じられること)に気づけました。
一度どん底を見て這い上がった人間は、ちょっとやそっとの事では動じない「強さ」を持てるのです。
まとめ
債務整理をすることは、決して大声で誇れることではありません。
しかし、一生下を向いて、自分を卑下しながら生きるような「恥」でもありません。
人間、誰しも転ぶことはあります。
転んだ事実よりも、「そこからどう立ち上がったか」の方が、人生においては何倍も重要です。
「恥ずかしい」「情けない」という無駄なプライドは、弁護士事務所のゴミ箱に捨ててきましょう。
身軽になったあなたを待っているのは、想像以上に明るく、平穏な新しい人生です。
FAQ(よくある疑問)
Q:周りの人にバレて軽蔑されませんか?
A:自分から言いふらさない限り、周りにバレることはまずありません。
私が借金を告白したのは妻だけです。最初は修羅場になり「信じられない」と軽蔑されましたが、必死に生活を立て直す姿を見せ続けたことで、今は「あの時、隠し続けずに言ってくれてよかった」と言ってくれています。誠意をもって行動すれば、本当に大切な人は見捨てません。
Q:どうしても自分を責めてしまいます。どうすればいいですか?
A:私も最初は「なんであんな無駄遣いをしたんだ」と後悔ばかりしていました。
でも、自分を責めても1円もお金は増えませんし、過去は変えられません。過去を反省するのは一度だけにして、あとは「今日の家計簿を黒字にする」「今月の積立金をしっかり払う」という、目の前の小さなタスクに集中するのが一番の特効薬でした。行動しているうちは、自分を責める暇がなくなります。
