債務整理をして、心を入れ替えた……はずでした。
しかし正直に告白すると、手続きを終えて平和な日々が戻ってくると、ふとした瞬間に「あ、これクレカの分割払いなら今すぐ買えるのに」という危険な思考が頭をもたげることがあります。
借金は単なるお金の計算問題ではありません。ギャンブルやお酒と同じような「思考の癖(一種の依存症)」です。
今回は、ブラックリスト期間中の私が、自分の中に潜む「借金したいお化け」とどう戦い、再発(リバウンド)を必死に防いでいるのか、その泥臭いリアルを書きます。
債務整理をしても「借金脳」はすぐには治らない
借金問題が片付き、督促の電話が鳴らなくなると、人は驚くほど早く「平穏」に順応します。しかし、そこには大きな罠が潜んでいました。
平和に慣れると、過去の痛みを忘れてしまう人間の弱さ
あれほど怯えていた督促の恐怖も、返済のためにATMを何軒もハシゴした疲労感も、時間が経つと薄れてしまいます。
人間は辛い記憶を忘れるようにできている生き物だからです。
毎月の積立金(返済)が滞りなく進み、生活が安定してくると、
「今の自分なら、少しお金を借りてもちゃんと管理して返せるんじゃないか?」
という、根拠のない謎の自信が湧いてくる瞬間があります。これが「借金脳」の本当に恐ろしいところです。
SNSの「爆買い報告」を見て疼く見栄
さらに私を苦しめるのが、SNSです。
InstagramやX(旧Twitter)を開けば、他人のキラキラした投稿で溢れています。
「新作のバッグ買っちゃいました!」
「週末は高級ホテルでご褒美ステイ」
そんな他人の「爆買い報告」を見ていると、心の奥底で眠っていた見栄が疼き出します。
「自分も欲しい」「私だけ我慢ばかりの人生は嫌だ」という強烈な衝動が襲ってきて、思わず「後払いアプリ 審査なし」などと検索しそうになる夜が、今でもたまにあります。
衝動が襲ってきた時の「3つの防衛策」
こうした衝動は、気合や根性だけでは抑えきれません。
私は「また借金したい(買いたい)」という波が来た時のために、具体的な防衛策(ルール)を用意しています。
防衛策① 欲しいものは「1週間放置リスト」に入れる
ネットサーフィンをしていて衝動買いしたくなった時、その場では絶対に買いません(そもそもブラックなので買えないことも多いですが)。
代わりに、スマホのメモ帳に作った「1週間放置リスト」に商品名とURLを書き込みます。
そして、そのまま1週間寝かせます。
不思議なもので、1週間後にそのメモを見直すと、「なんでこんなの欲しかったんだっけ? やっぱりいらないや」と冷静に思えることが9割以上です。衝動というものは、時間が経てば必ず鎮火します。
防衛策② 過去の「借金一覧表(絶望の数字)」をあえて見返す
それでも「どうしても欲しい、お金を借りたい」と思った時のための最終兵器があります。
それは、私が最も苦しかった時期に震える手で書いた、「借金400万円の内訳を書いたメモ」です。
これを財布の奥底に忍ばせておき、衝動が来た時にあえて見返します。
「〇〇カード:80万円(利息15%)」
「〇〇銀行:120万円……」
この絶望の数字を見るだけで、「ああっ、あの地獄には絶対に二度と戻りたくない!」と頭から冷や水を浴びたように我に返ることができます。過去の痛みを意図的に思い出すための劇薬です。
防衛策③ 現金しか持たずに外出する(物理的なロック)
休日にショッピングモールなどへ行く時は、あえてデビットカードすら家に置いていきます。
財布に入れるのは、あらかじめ決めた「今日使っていい現金(例えば3,000円)」だけ。
物理的にお金を持っていなければ、どんなに欲しいものに出会っても買うことはできません。諦めて帰るしかないという「荒療治」ですが、これが一番確実なストッパーになります。
ブラックリスト(信用情報ブラック)の本当の意義
こうして衝動と戦う日々の中で、私は「ブラックリスト」に対する考え方が180度変わりました。
強制的な「リハビリ期間」を与えられた幸運
もし今、私がブラックリストに入っておらず、自分の意思だけで「借りない生活」を実践しようとしていたら……絶対に挫折していた自信があります。
誘惑に負けて、またクレジットカードを魔法の杖のように振っていたでしょう。
国と法律が、信用情報というシステムを使って「あなたは向こう5年間、絶対にお金を借りることはできません」と強制ロックをかけてくれたこと。
これこそが、意志の弱い私にとって最強の「依存症治療」だったのだと、今になって深く感謝しています。
まとめ
「もう一生、お金なんて借りたいと思わない」
そんな綺麗事の嘘はつきません。買い物の快感や、お金を使う楽しさへの衝動は、きっと一生つきまとうでしょう。
大切なのは、その衝動をゼロにすることではなく、衝動が来た時の「対処法(ストッパー)」を複数用意しておくことです。
私の借金リハビリはまだ続いています。
でも、衝動の波を乗りこなすたびに、確実に少しずつ、前より強い自分になれている実感があります。
FAQ(よくある疑問)
Q:債務整理後にまた借金をしてしまう人はいるんですか?
A:弁護士さんに聞いたところ、残念ながらリバウンドしてしまう人は一定数いるそうです。クレジットカードが作れなくても、「ヤミ金」や「後払い決済アプリ(ペイディなど)」に手を出して再び首が回らなくなるケースです。だからこそ、「自分は意志が弱い」と自覚し、物理的にお金を借りられない環境を死守することが一番の予防になります。
Q:買い物でストレス発散できなくて辛くないですか?
A:最初は本当に辛く、イライラしました。しかし徐々に、「不用品をメルカリで売る(お金が増える快感)」「無料で楽しめる趣味(図書館での読書や、近所の散歩)を見つける」など、お金を使わないストレス発散方法にシフトしていきました。今では「お金を使わずに休日を楽しめた自分」に達成感を感じるようになっています。
